にきび(尋常性ざ瘡)とは
にきびの原因は、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりです。過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まり、面皰(めんぽう)という白ニキビ状態になります。この毛穴に溜まった皮脂を栄養源にして、にきびの元となるアクネ菌は増殖していき、症状を悪化させます。
大人のにきびは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、いろいろな要因が複雑に絡み合ってできることが多く、治りにくいのが特徴です。
にきび治療
炎症の強い赤にきび・にきび痕の赤み
にきびの治療にあたっては、にきびの種類と重症度に応じて、外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗生物質など)、内服薬(抗生物質、漢方薬など)、イソトレチノイン内服療法などの中から選択します。
にきび痕の赤みやしみにはビタミンCローションが効果的です。
にきび跡の陥凹やクレーターは、ダーマペン4が効果的です。
イソトレチノイン内服治療
イソトレチノインは、ビタミンA誘導体の一種で、皮脂の分泌を強力に抑える内服薬です。
皮脂腺の縮小、毛穴の詰まりの改善、抗炎症作用などにより、ニキビの発生を抑制します。
欧米では40年以上にわたり重症ニキビの治療に使用されており、従来の治療で改善が難しいニキビに対しても高い治療効果が期待できます。
特に、炎症の強いニキビや、繰り返し再発するニキビ、ニキビ跡が残りやすい方に対して有効な治療選択肢となります。
なお、日本国内では未承認の医薬品のため、自由診療(保険適用外)となります。
イソトレチノインの作用
イソトレチノインには、主に以下の3つの作用があります。
- ① 皮脂の分泌を抑える
- 皮脂腺を縮小させ、過剰な皮脂分泌を抑制します。ニキビの原因となる皮脂の蓄積を減らします。
- ② 毛穴の詰まりを改善する
- 毛穴の角化異常を改善し、ニキビの初期段階である面皰(コメド)の形成を抑制します。
- ③ ニキビの炎症を抑える
- 皮脂分泌の減少によりアクネ菌が増殖しにくい環境をつくるとともに、炎症を抑制します。
これらの作用によってニキビを改善し、治療終了後も長期間にわたり再発を抑えられる場合があります。
イソトレチノイン治療の適応となる方
- 中等症〜重症のニキビが長期間続いている方
- 保険診療の外用薬や抗菌薬で十分な改善が得られない方
- 治療を行ってもニキビの再発を繰り返す方
- しこりを伴うニキビ(結節性・嚢腫性ざ瘡)ができやすい方
- 炎症が強く、ニキビ跡(瘢痕)が残りやすい方
※ニキビの状態やこれまでの治療経過を確認し、医師が治療の適応を判断します。
内服方法・治療期間
1日1回、食後に内服します。
当院では、体重に応じて以下の用量を目安に処方しています。
| 体重 | 1日の内服量 |
|---|---|
| 60kg未満 | 20mg |
| 60kg以上80kg未満 | 30mg |
| 80kg以上 | 40mg |
※症状や副作用、血液検査の結果に応じて用量を調整する場合があります。
治療期間は通常6か月間です。
治療開始後、一時的にニキビが悪化する場合がありますが、その後徐々に改善がみられることがあります。
効果の現れ方には個人差があり、治療終了後に再発する場合もあります。必要に応じて外用薬などによる維持療法を行います。
治療の流れ
-
1. 初回診察・血液検査
ニキビの状態や既往歴、服用中のお薬などを確認します。
治療の適応がある場合は、肝機能や脂質などを確認するため、血液検査を行います。 - 2. 約1週間後:内服開始 血液検査の結果を確認し、問題がなければ内服を開始します。
- 3. 内服開始3週間後:血液検査 副作用の有無を確認するため、血液検査を行います。
- 4. 約1週間後:再診 血液検査の結果を確認し、問題がなければ内服を継続します。
- 5. その後:定期診察 1〜2ヵ月ごとを目安に診察を行います。内服開始3ヵ月後にも血液検査を行います。
※診察や検査の頻度は、患者さんの状態に応じて変更する場合があります。
治療費用(料金は全て税込です)
薬剤費
| 内服量 | 30日分の費用 |
|---|---|
| 20mg/日 | 16,500円 |
| 30mg/日 | 27,500円 |
| 40mg/日 | 33,000円 |
※上記料金とは別に、初診料3,300円、再診料1,100円がかかります。
血液検査:1回5,500円
副作用について
比較的よくみられる副作用
- 唇や皮膚の乾燥
- 口腔内や鼻粘膜の乾燥
- 鼻出血
- ドライアイ
- 皮膚の赤みや刺激感
その他の副作用
- 頭痛、めまい
- 眼瞼炎、結膜炎、視力障害
- 筋肉痛、関節痛
- 悪心、嘔吐、下痢
- 脱毛
- 肝機能障害
- 脂質異常(中性脂肪・コレステロールの上昇)
- 抑うつなどの精神症状
まれに、頭蓋内圧亢進、膵炎、重篤な皮膚障害などが生じることがあります。
強い頭痛や視覚異常、著しい気分の変化などが現れた場合は、服用を中止して速やかに医師へご相談ください。
治療の受けられない方
- 妊娠中、授乳中、妊娠を希望されている方
- 成長期の方(15歳未満の女性/18歳未満の男性)
- 肝機能障害がある方
- 脂質異常症がある方
- ビタミンA過剰症の方
- イソトレチノインや製剤成分にアレルギーのある方
- うつ病など精神疾患の既往がある方
- クローン病や潰瘍性大腸炎などの既往がある方
また、レーザー脱毛や美容施術を受ける予定がある方は、事前に医師へご相談ください。
併用できない薬
- テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン、ビブラマイシンなど)
- ビタミンA製剤(サプリメントを含む)
- フェニトイン
- ステロイド内服薬
妊娠・避妊に関する重要な注意事項
イソトレチノインには強い催奇形性があり、妊娠中に服用すると胎児に重大な先天異常を引き起こす危険性があります。
妊娠中の方、妊娠している可能性がある方は服用できません。
妊娠する可能性のある方は、治療開始前、治療中、治療終了後の指定された期間にわたり、確実な避妊が必要です。
当院では安全管理のため、内服終了後6か月間は妊娠を避けるようご案内しています。
また、内服中および内服終了後6か月間は献血を禁止しています。
妊娠が疑われる場合は、直ちに内服を中止し、医師へご相談ください。
未承認医薬品について
- 未承認医薬品等
- イソトレチノインは、日本国内で承認されていない医薬品です。
- 入手経路等
- 医師の判断のもと、海外から輸入した医薬品を使用しています。
- 国内の承認医薬品等の有無
- 国内にはニキビ治療用の承認医薬品がありますが、イソトレチノインと同一成分の内服薬は承認されていません。
- 諸外国における安全性等に関する情報
- イソトレチノインは、米国などで重症ニキビの治療薬として承認されています。ただし、催奇形性、肝機能障害、脂質異常などの副作用が報告されており、適切な管理のもとで使用する必要があります。
- 医薬品副作用被害救済制度について
- 国内未承認医薬品のため、原則として医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

